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ジャイブ 海風に吹かれて 08年日本

2009年06月11日 12:22

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2009年6月7日シネパトス銀座にて鑑賞

評価★★★★★★☆☆☆☆

監督:サトウトシキ

出演:石黒賢、清水美沙、上原多香子、山口馬木也、豊永伸一郎、六平直政、大滝秀治、加賀まりこ、津川雅彦他

原作:秀丸

配給:ダゲレオ出版/ドリームワンフィルム

上映時間:109分

北海道の広大な大自然を舞台に、一度は人生に行き詰ってしまった男女2人の再生物語。”中年の青春”ともいえるその物語を、淡々としながらも誠実に描かれた良質な作品である。
じいさんの四十九日のため、田舎である北海道・江差に戻ってきた哲郎。仕事と家庭に行き詰まり、何をしていいか迷っていた哲郎だったが、偶然高校の同級生だった由紀と再会を果たす。その由紀に促されるカタチで、学生時代諦めてしまっていた”北海道を無寄港で一周する”を宣言してしまう。
物語としてはよくある部類(いまどきとも云える)のモノだろう。一度は人生に挫折しかけた男と、まともに結婚も恋愛もできないまま、日々の暮らしに虚しさを感じている女が出会う事で2人の中で何かが変わり始める。そんな2人の様子が淡々と描かれる。

ただその淡々さが退屈に感じてしまう事もある。それに「どんだけ北海道が協賛してんだよ!」ってくらい北海道の情景や祭りなどのイベント事が映し出されるので、この作品は北海道観光ツアーガイドなのか!?と嫌味のひとつも言いたくなってしまう。

まあちょっとその辺りは微妙な感じでもあって、確かに協賛は多いのだが、最近多いあからさまな宣伝とは違ったりもする。映画の妨げになるような事は殆ど無く、むしろここまで大々的に宣伝しているのにも関わらず作品が破綻していない事にエールを送りたい。

主演の石黒賢は、今までに無い等身大の自分を「60歳のラブレター」のピエロっぷりは何処へやら、清々しく演じている。また相手役の清水美沙がいい感じに色気を備えて年を重ねており、その色気と相まって自然な演技が素晴らしかった。

最近自然な色香を出せる女優さんが少ないと私は勝手に思っている。処女性ばかりがもてはやされ、脱げる女優は派手に脱ぎ散らすだけ。だが清水美沙は人として滲み出る色香を自然に出せる女優さんであり、奇麗事ばかりでない人の人生を演じきってしまう。・・・単に好みって事もあるが。

その人間性を意識したサトウ監督の手堅い演出もあってか、地味ながら堅実で良質な作品になっている。退屈な展開と、受け入れられる世代の狭さが評価を落とすかもしれないが、私は(世代的に近いという事もあり)普通に楽しむ事ができた。

ちなみに表題の「ジャイブ」とは、ヨットが風を後ろから受けて走っている時に方向転換をする事を指すらしい。つまり一方の舷から風を受けて走り続けるのではなく、反対舷から風を受けるように意図を持ってコースを変更する操船技術の名称だそうだ。作品のテーマにシックリとくるいいタイトルだと思うのだが・・・意味を知らなきゃしょうがない。私はパンフに書いてあったので知る事ができたが・・・。
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ウルトラミラクルラブストーリー 09年日本

2009年06月11日 12:06

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2009年6月7日シネカノン有楽町2丁目にて鑑賞

評価★★★★★★☆☆☆☆

脚本/監督:横浜聡子

出演:松山ケンイチ、麻生久美子、ノゾエ征爾、ARATA、藤田弓子、原田芳雄、渡辺美佐子他

配給:リトルモア/日活

上映時間:120分

『ジャーマン+雨』で鮮烈デビューを飾った気鋭の新人作家、横浜聡子監督の最新作。いま若手で最も注目されている松山ケンイチと麻生久美子を主役に向かえ、監督や松山の出身でもある青森を舞台に、ちょっと不思議な純愛物語が語られる。
青森で無農薬野菜を栽培しながらひとり暮らしをしている、ちょっと変わり者の青年陽人。テープから流れる死んでしまったおじいさんの声を頼りにキャベツを作るが中々上手くいかない。そんなある日、東京から町子という女性が保育園の先生として赴任してくる。町子に一目惚れしてしまった陽人は、純粋に”好き”だという気持ちの表れとして、何かと町子に付きまとうようになっていくが・・・。
ある意味では非常に稀な映像作家が登場したっていう衝撃を受けるであろう作品だ。現存に囚われない物語と描写、そのくせ表現は実に映画的な躍動感に溢れる。だが作家性の強さから誰もが受け入れる事のできる作品ではなく、評価が分かれるのも間違い無い。

それとこの作品は松山ケンイチ演じる陽人をどう捉えるかでその評価が変わる。ハッキリと明記していないが、陽人はどう見ても知的障害者だ。そしてその扱いは温かさと冷たさを兼ね備えているため、見方によっては無神経にも感じてしまう。ただそこに正解は無いため、どうとでも映ってしまうのだ。

また、変わり者であるから、知的障害であるから純粋なラブストーリーとして成立するっていう作品の趣旨にも納得できる部分とできない部分がある。今の時代純粋に好きである事を表現するのは不可能に近い。だからこそこういった手法になってしまう訳だが、そこに表現者としての言い訳がましさも見え隠れする。・・・ホントのところは判らないが。

ただそんな想いを払拭するのが松山の躍動感溢れる演技だ。陽人は自覚の無い自由人であり、感情の全てを体全体で表現する。その様々な感情表現を松山が全身で表す事で、得体の知れないであろう陽人に魅力が溢れ出す。彼の抱える過酷な運命(自覚は無いが)など吹き飛んでしまうだろう。

あくまで知的障害者である事を気遣い表現を貫くのか、全てを受け入れ分け隔てなく包み込むのか、その差が作品の本質の差でもある。本作は全てを包み込む優しさと、それ故にでてくる人の残虐性、その両方が同居しているため判断が難しいが、温かさだけなんていう嘘っぱちな世の中より、残酷だからこそ現実味がでるのであって、嘘の優しさなどやっぱり嘘でしかないと思ってしまう。

結局は観客の判断に任せるしかなく、良識の是非ってやつは難しいって事だ。ひょっとしたら陽人はホントにただの変わり者なのかもしれないし、知的障害者を扱うには無神経すぎると見る事もできる。不可思議なファンタジーにも見えれば、純粋なラブストーリーと感じる事もできる。

あまり使いたくないフレーズだが”何とも形容し難い作品”って事なんだろう。

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雑記(気になった事など)

【訃報】「トップガン」をはじめとする数々のアクション映画を手掛けてきたトニー・スコット監督が亡くなった。しかも自殺であるという可能性が濃厚と報道されている。もちろん他人の心の中が分かるはずもないんだけど、いい意味で頭を使わずスカッとする大作を連射(ここ最近は快作が多かった)してきた監督だっただけに、「何故?」という思いがどうしても頭から離れない。ホント人の気持ちは複雑なのだと実感する。ご冥福をお祈りします。

プロフィール

ひだっちょ

Author:ひだっちょ
埼玉在住のおっさん(パソコンは初心者)
性格:人見知りが激しく偏屈(ヒドイね)
趣味:映画(ホラー以外何でも)
定期購読誌:「映画秘宝」
        「HYPER HOBBY」
TV番組の好み:お笑い番組全般と特撮番組をよく観る.アニメ・ドラマは少々
好きな映画:「グラン・ブルー」
        「あの夏いちばん静かな海」
好きな戦隊:「タイムレンジャー」
        「メガレンジャー」
好きなライダー:「クウガ」「電王」
※個人的に「パワーレンジャー」の日本放映を願っている(切実に!)

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