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ミルク 08年アメリカ

2009年04月24日 15:54

IMG_3980.jpg

2009年4月23日MOVIX三郷にて鑑賞

評価★★★★★★★★★☆

監督:ガス・ヴァン・サント

出演:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、ディエゴ・ルナ、ジェームズ・フランコ、アリソン・ピル、ヴィクター・ガーバー他

原題:「MILK」

配給:ピックス

上映時間:128分

1978年サンフランシスコ市政執行委員に当選したハーヴィー・ミルクは、アメリカ史上初の同性愛を公言した公職者となった。だが任期1年にも満たない内に、凶弾によって生命を絶たれてしまう。映画「ミルク」は、ハーヴィー・ミルクが亡くなるまでの8年間を物語にした作品である。

1972年、ハーヴィーと20歳年下の恋人スコットは新天地サンフランシスコに移り住む。その後アパートの一階に「カストロ・カメラ」を開店すると、ミルクの人柄もあって店はゲイやヒッピーたちの集まるコミュニティーの場と化していた。だが周りは保守的なカトリック層も多く、快く思わない人たちも多かった。

ミルクは73年11月に初めて市政執行委員の選挙に立候補する。サンフランシスコでの生活で彼は政治活動に目覚めたのだ。当時同性愛者に対する風当たりは強く、ただバーに居ただけで逮捕されてしまったり、職場でのカミングアウトは即刻首を意味していた。日常的に差別の対象だったのだ。

政治家は公然の面前で”ゲイは病気”と蔑視し、あまつさえ職業を規制する法案を立ち上げ、人権侵害に躍起になる。そして人々はその差別行為を当たり前のように支持をする。そんな時代ミルクは立ち上がり、同性愛者はもちろん、他の様々な弱者への救済を叫ぶのだ。

とにかくショーン・ペンのミルクへの憑依っぷりが凄い。ミルクを知る人にとっては皆が瓜二つだと云い、実際の映像を殆ど見た事の無い私でさえ、演じる彼の表情や仕草ひとつひとつにミルクの気品を感じるのだ。ドキュメンタリー映画が今度DVDにて復活するそうなので、是非見比べてみようと思う。

演者たちの素晴らしさが際立つ「ミルク」だが、監督の演出効果が優れた作品でもある。ザラついた映像とその当時の映像を巧みに使い分け、70年代サンフランシスコの現実を、ドキュメンタリー映画以上の説得力をもって映し出しているのだ。

それと漠然な言い方だが、作品全体が暖かな優しさに包まれた表現と感じた。ミルクは強い意志の下皆の希望となっていくのだが、そのミルクの表情に浮かぶ優しさは監督自身の表現の優しさと繋がり、ミルクがドンドンと人間味を増してくる。いち活動家ではなく、人としてミルクが描かれている。

ところで当時の情勢に宗教的背景が大きいのは明白だろう。寛容的な仏教の教えと違い、カトリック、特にキリスト教原理主義はその固執した定義の狭さが問題で、聖書を一字一句信じ込み、進化論は存在せず、世界は核によって全滅し自分たちだけが蘇ると説いている連中だ。

彼らはアメリカの人口の3割を占め、政治的にも多大な影響を与えている。当時ミルクが焦点を絞って争っていたのが”提案6号”で、”同性愛者の性的趣向により教育者の免許を剥奪できる”という非人道的法案であり、場合によっては教育現場だけでなく、他の弱者への影響も恐れられていた。

「ゲイは子供たちに悪影響がある」、「子供を産めないから、子供を同性愛者にリクルートしている」などと訴え掛ける保守派の人たち。日本人にはピンとこない、信じられない争いがたかだか30年前に行われていたのだ。そしてそういった戦いは終わる事は無く今でも各地で続いているという。

ミルクの戦いを見ていると”自由の国アメリカ”などと軽々しく云えなくなってしまう。日本人にとってアメリカは世界一の先進国だと未だ幻想が飛び交うが、彼らの”自由”は命懸けで得たモノであって、元々保障などされてないのだ。その事を非常に強く感じる作品だった。

「ミルク」はアメリカの真実を(一部だが)描き出している。日本人にとっても”知らない”で済ましてはダメだ。”知るべき”史実なのだ。
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雑記(気になった事など)

【訃報】「トップガン」をはじめとする数々のアクション映画を手掛けてきたトニー・スコット監督が亡くなった。しかも自殺であるという可能性が濃厚と報道されている。もちろん他人の心の中が分かるはずもないんだけど、いい意味で頭を使わずスカッとする大作を連射(ここ最近は快作が多かった)してきた監督だっただけに、「何故?」という思いがどうしても頭から離れない。ホント人の気持ちは複雑なのだと実感する。ご冥福をお祈りします。

プロフィール

ひだっちょ

Author:ひだっちょ
埼玉在住のおっさん(パソコンは初心者)
性格:人見知りが激しく偏屈(ヒドイね)
趣味:映画(ホラー以外何でも)
定期購読誌:「映画秘宝」
        「HYPER HOBBY」
TV番組の好み:お笑い番組全般と特撮番組をよく観る.アニメ・ドラマは少々
好きな映画:「グラン・ブルー」
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好きな戦隊:「タイムレンジャー」
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※個人的に「パワーレンジャー」の日本放映を願っている(切実に!)

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