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チェイサー 08年韓国

2009年05月07日 12:56

IMG_4306.jpg

2009年5月3日シネマスクエアとうきゅうにて鑑賞

評価★★★★★★★★★☆

監督/脚本:ナ・ホンジン

出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ、キム・ユジョン、チョン・インギ、チェ・ジョンウ他

英題:「THE CHASER」

配給:クロックワークス/アスミック・エース

上映時間:125分
2003年9月~2004年7月までに21人を殺害した連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件を基に造られている作品。ただし事件の大枠を参考にしているだけで、語るべき物語の本質は監督の創作になる。

元刑事で今はデリヘルの元締めをしているジュンホ。ある時、彼の店の女が立て続けに2人失踪してしまう。不信に思ったジュンホは、失踪した女を呼んだ同じ客を突き止め、その呼び出しにおとりとして風邪で休んでいたミジンを無理矢理派遣させる。家を突き止めたら連絡をよこす様に指示をするが、いつまで待っても連絡は来なかった・・・。

この作品は、乱暴に言ってしまうとロクデナシな男2人が追いかけっこをし、殴り合っているだけの作品に過ぎない。だがその2人の資質の違いが奥深い人間ドラマを生む事になる。ひとりは人間の境界線を越えてしまった男、もうひとりは何とか留まっている男だ。

まず面白いのは主人公ジュホン自身だ。とにかく口が悪く暴力的で、店の女や客にまで容赦ない態度を取る。元刑事であるために女が失踪しても自分で調べだすのだが、刑事としての資質が意外なドラマ展開を生む。その魅せ方が実に上手く、グイグイとドラマに引き込まれてしまう。

どう見ても粗暴なだけのおっさんであるジュンホだが、演じるキム・ユンソクによって人間味とその魅力がドンドン増してくる。ただそれは対極に位置するヨンミンの存在があるからこそで、それを演じたハ・ジョンウが受け入る事のできない魅力を十二分に発揮しているからでもある。

おとりにされてしまうミンジを演じたソ・ヨンヒの見事な生活苦具合の表情もいい。そして何といってもその子供ウンジを演じたキム・ユジョンだ。眼が非常に印象的で、ジュンホとの掛け合いの数々は、陰惨な題材のこの作品において唯一の清涼剤となっている。

演出は基本に忠実で古臭いとも云える。走るシーンや乱闘シーンでも、人の持つ躍動感以上は感じない。ただ、だからこそ魂が感じられる。とにかくどんなシーンでも人間らしく不器用極まりない描かれ方で、それこそ人間が起こすアクションであり、不器用ゆえ泥臭く人間臭いのだ。

アクション以外でも魅せる演出は多い。あえてセリフを排除する事で人物の心情を際立たせてみたり、執拗に魅せるかと思えばアッサリ切り捨てたりもする。それは従来語り継がれてきた古典的手法とも云えるが、作品の本質を見事に捉えており表現の質の高さを物語っている。

「チェイサー」は基となった事件自体は解決している。「殺人の追憶」のように、未解決事件を扱うために生じるやり切れなさは無いと思われてるかもしれないが・・・正直よくこの展開で映画化の承諾が下りたなといった希望の無さだ。いや、希望が小さすぎるといった処か。

だがその表現を見せないと、この題材を扱う意味が無くなってしまう。監督自身この表現を見せる事に躊躇が無かったように、それほどの信念を持って作品に挑んでいるのも確かだ。そのために事件を基にしつつもフィクションを大胆に織り交ぜているのだ。

1974年生まれのナ・ホンジン監督の限りなく低予算の初長編映画が、2008年韓国で一番のヒット作品になった。それもこれほどに救われない物語でだ。信じられないがそれが現実である。一時期低迷だった(と私は認識している)韓国映画だったが、この作品がキッカケで何かしら状況が変化していくかもしれない。それほどにパワーのある作品と云えよう。
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雑記(気になった事など)

【訃報】「トップガン」をはじめとする数々のアクション映画を手掛けてきたトニー・スコット監督が亡くなった。しかも自殺であるという可能性が濃厚と報道されている。もちろん他人の心の中が分かるはずもないんだけど、いい意味で頭を使わずスカッとする大作を連射(ここ最近は快作が多かった)してきた監督だっただけに、「何故?」という思いがどうしても頭から離れない。ホント人の気持ちは複雑なのだと実感する。ご冥福をお祈りします。

プロフィール

ひだっちょ

Author:ひだっちょ
埼玉在住のおっさん(パソコンは初心者)
性格:人見知りが激しく偏屈(ヒドイね)
趣味:映画(ホラー以外何でも)
定期購読誌:「映画秘宝」
        「HYPER HOBBY」
TV番組の好み:お笑い番組全般と特撮番組をよく観る.アニメ・ドラマは少々
好きな映画:「グラン・ブルー」
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※個人的に「パワーレンジャー」の日本放映を願っている(切実に!)

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