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普通に生きていける幸せ こうの史代著作「この世界の片隅に」

2009年07月22日 12:41

私なんかがこの作品についてどうこう書くなんておこがましいにも程があるのだが、できれば大勢の人に読んで欲しいので紹介したいと思う。


  『こうの史代著作「この世界の片隅に」上・中・下』 双葉社

  IMG_5639.jpg  IMG_5640.jpg

  IMG_5642.jpg

この作品についての適切且つ総括的解説と感想が読みたいのであれば、私もよく訪れる作家深町秋生氏のブログ”深町秋生のベテラン日記”を見て頂いた方がいい。深町氏独特の解釈が見られる他、この作品を賛辞しているサイトへのリンクも貼ってあるので、私なんかのツマラナイ感想などよりむしろそのサイトへ飛んでもらった方がいい。

(深町秋生ベテラン日記”この世の理不尽を越える「この世界の片隅に」”)※勝手にリンクすいません


こうの氏の作品は2年ほど前に公開された映画「夕凪の街 桜の国」の原作を読んでみたいと思った事がキッカケで読み始めた。しかもほぼ同時期に他のこうの氏の作品を薦められ読む機会があり、偶然ながら殆どの作品を読む事ができた。

「夕凪の街 桜の国」はこうの氏の故郷である広島を舞台とした作品で、戦中と現代が交差する物語になっており、戦中の広島なのでもちろん”アレ”が登場する。それまでの作品は現代を舞台とした女性らしい視点と、のほほんとした作風ながら生きていく事への不条理さが胸を打つ作品が多く、「夕凪の街」は作家としての本質は変わらずとも、今までとは一線を駕す作品になっている。

1968年生まれのこうの氏が戦争を知らない世代なのは当然だが、広島生まれという事で”一度あの題材で書いてみたらどうだろうか?”という編集者からの要望があっての執筆になったそうだ。だが戦争を知らない人間が戦争を描く難しさは、我々のような素人でも想像を遥に超える困難が付きまとう(福井晴敏のようなナンちゃって作品とは訳が違う)。「夕凪の街」は傑作ながら、初めての戦争作品という事でもうひとつ踏み込めていないという印象があるのも確かだ(私の勝手な感想だが)。

その集大成となるべく作品が「この世界の片隅に」だ。この作品は戦時中広島で海苔養殖業者を営む家に生まれたすずという娘が、呉市の軍需工場勤めの男の下へと嫁いでいく処から始まり、その日常を丹念に描き出すだけのごくシンプルな物語になっている。明るくて働き者だがおっちょこちょいなすずの一生懸命生きる姿は、毎回のように読む者を癒してくれるだろう(しかも毎回オチがある)。

だが私は1年ほど前に発売された中巻を、所有していながら読む事を避けていた。昭和19年頃からを月ごとに描くこの作品は、その先に必ず訪れる避けられない不幸をどうしても感じてしまうのだ。質素で堅実に恭しく生きていく事しかできないすずが、避ける事のできない惨事に見舞われてしまう展開を直視できず、私の現実同様”嫌なモノは避けてしまえ”とばかりに逃げていた。

そして最終巻である下巻が発売され、深町氏のサイトで紹介されても、やはり手を伸ばす事ができなかったが、先日本屋に行った時に偶然目に付き衝動的に購入、一気に読み終えた。


何ともいえない感覚だった。単に感動したとか、いい話だ、とかとはレベルが違う。こんな当たり前にのんべんダラダラと生きていける幸せを久し振りに噛み締める事ができた・・・という感じだろうか。


戦争がいかに理不尽なのかを今更ながら思い知る。ミサイルは爆発の如くいともアッサリ幸せを奪い、焼け跡の如く生き残った者の脳裏にどす黒い影を落とす。もがき苦しむも、個人のチカラではどうにもできない現実。普通に生きていく事の難しさと不条理さをこれでもかと痛感させられる。

だがこの作品の中で生き抜く人たちは簡単に自分が不幸などとは言わない。人の弱さはもちろん持ち合わせているが、それ以上に生きる強さに溢れている。現代を生きる我々には想像もできなかった現実がこの作品には描かれており、それはつい何十年か前にあった日本の現実なんだと改めて実感できる作品でもある。


この作品が戦後世代が描く戦争作品の代表格になるのは間違いない。作者の言う通り、作者自身のひとつの解釈でしかないのかもしれないが、今後は間違いなく戦争を体験していない世代が戦争を描く事になるのだ。幾ら有名だからといって戦争ゴッコしか描けないボンクラ作家の作品を読むのなら、この作品を読んだ方が一億倍心が満たされる。それだけのモノを持っている作品だ。

あー、やっぱり上手くまとまらない。私なんかがこの作品の素晴らしさを伝えるなんて事できる訳がない。自分のチンケな文才に腹が立つよ!
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雑記(気になった事など)

【訃報】「トップガン」をはじめとする数々のアクション映画を手掛けてきたトニー・スコット監督が亡くなった。しかも自殺であるという可能性が濃厚と報道されている。もちろん他人の心の中が分かるはずもないんだけど、いい意味で頭を使わずスカッとする大作を連射(ここ最近は快作が多かった)してきた監督だっただけに、「何故?」という思いがどうしても頭から離れない。ホント人の気持ちは複雑なのだと実感する。ご冥福をお祈りします。

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ひだっちょ

Author:ひだっちょ
埼玉在住のおっさん(パソコンは初心者)
性格:人見知りが激しく偏屈(ヒドイね)
趣味:映画(ホラー以外何でも)
定期購読誌:「映画秘宝」
        「HYPER HOBBY」
TV番組の好み:お笑い番組全般と特撮番組をよく観る.アニメ・ドラマは少々
好きな映画:「グラン・ブルー」
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好きな戦隊:「タイムレンジャー」
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